悩める男性のあなたへ贈る、30年以上眉毛を手がけてきた、サロンディレクター・中村順子からの熱いメッセージです。
私は青森県下北半島本州最北端の町に生まれました。町には小学校は一校だけ、中学校も同じ一校だけという田舎町でした。
眉毛に初めて関心をもったのは小学校一年生の時です。
少女時代にそんな田舎町の小学校で出会った用務員のおばさんの眉毛はまるでマジックで描いたかのように濃く、インパクトの強い眉でした。
その用務員のおばさんは毎朝、子供達が登校する時間には必ず出迎えてくれるのですが、いつみてもその真っ黒な眉毛と形に気をとられてしまい、私はおばさんの顔を見るよりも眉毛ばかりを見ていた記憶があります。
おばさんはどうして毎日眉を描いているのかしら・・?と不思議に思っていました。
わたしは現在65歳。今では小学校の先生たちの顔は忘れてしまいましたが、そのおばさんの顔だけは今でもはっきりと思い出せます。
その後も私は母のお友達や知り合いのおばさんたち、お姉さんたちが眉を描いていることに気づき、描いている眉毛をよく観察していました。
子供ですから上手に描いていると思うよりは、眉が茶色で描かれているとかその程度の観察でしたが、それでも私の興味は眉毛にありました。
ある日、ついにどうしても自分でも眉を描いてみたくなりました。
私の母は眉を手入れしていなかったので身近に眉を描く道具はありません。
そこで思いついたのが、兄弟のお習字の道具です。
誰もいない時間にこっそり兄のお習字道具を借り、一生懸命すずりですり、お習字用のなんとも太い筆で眉を描いてみたのです。
鏡に向かい眉毛の上にさらに墨で描くのですから、それはすごみのある眉毛だったと思います。
こっそり練習していたつもりでしたが、ついに兄に見つかってしまい怒られた記憶があります。
私に似合う眉の形はまったくわからず、そのことよりも用務員のおばさんの眉が頭からはなれず、同じ様に描いてみたかったのだと思います。
子供の頃からずっと人の眉毛に注目してきた私が、眉によって顔の印象が大きく変わること、そして気持ちまで変わっていく様子がわかるようになってきたのは、私が20代になり仕事を始め、メイクのことなどをお客様にアドバイスするようになってからでした。
お化粧をする時の一番のポイントは、やはり眉でした。
どんなに丁寧なメイクアップをしていても眉がその方に似合っていなければ魅力的にはなれません。
その反対に、眉の形がその方のお顔に似合っていればそれだけでとても魅力的なお顔になってしまうのです。このことが私にとって何よりも感動的だったのです。
その当時は、眉毛デザインという仕事は世の中ではあまり知られていませんでしたが、私は眉毛の重大さに気づきはじめました。
眉毛を本格的に力をいれてやってみようと思いましたのには理由があります。
自分の顔を気に入っていただくことが、そのお客様にとって精神的にも影響するからです。
眉が変わりお顔も変わると、自分の顔を好きになり自信につながっていくのです。
眉デザインを見て、その顔を気に入っていただいた時のお客様の喜びに満ちた笑顔は本当にすばらしい。
眉毛が変わることで今まであきらめかけていた自分の顔に対してのコンプレックスが解決していく。その時の安堵感と喜びの笑み。
今までの人生では、何事に対しても消極的だった方達が希望を取り戻し、少しずつ自分を磨きはじめていく。
消極的だった結婚に対して取り組みはじめる。
仕事へも意欲的に前向きに、元気に取り組める。
眉毛の仕事を通して、このように一人一人の仕事やプライベートの生活や暮らしのお手伝いが少しできている気がします。
眉毛をデザインするときは、一人一人がそれぞれ自分の顔を気に入るように変えていくのですが、そのためには一人一人に合わせた眉の形であって良いと思っています。
骨格、顔の大きさ、顔の輪郭、額の形、頭、目、鼻の形、身長、肌の色、職業、服装などは人によって様々です。これらを考慮しながら、どのような印象になればお客様に満足していただけるかを、お客様とコミュニケーションをとりながらデザインしていきます。
満足していただければ、元気になり喜んでいただけ、自信につながっていくのです。ですからそのためにも、お客様とのコミュニケーションはとても大切だと感じています。
どんな年代の方であっても、周りから見て好感を持ってもらえる顔の印象があります。若々しさ、はつらつさ、明るさ、爽やかさがあり、健康的に見えることです。
それは私が仕事を始めた頃の40年前も今の時代も同じです。そのように良い顔をつくるためには、眉の形がとても大切なのです。
眉のデザインは「眉の設計」とも言えます。お客様にもよくそのことをお伝えします。眉の形をつくるときはそのお客様に合わせて様々な事を考慮し、とても細かく考えていきます。ですから、良い眉とはこうです、というのは決めていません。目の前のお客様と対面したとき初めて考えてデザインしていくのです。
私はデザインが終わった時に必ずその方にこう尋ねます。
「どうでしょうか。お顔を気に入っていただけましたか?」
自分の顔を好きになってもらうことが一番大切だからです。
そして、「すごく気にいりました」という言葉が聞けたときはとても嬉しく「ああ良かった」と心から思います。その方が喜んでいてくださる気持ちが心に響いてくるのです。
他人が好感をもってくれて、なおかつ本人も感動してくれるような顔を私はつくりたい。
そのためには眉をペンシルで描いたりもしますし、眉のどの部分をカットするとか、この部分はカットしてはいけないなどというルールは私の中にはありません。
眉のデザイン、整え方はいろいろあるかと思いますが、ご自分のお顔を気に入っていただき喜んでいただけること、そして自信を持ち、その時から少しでもすばらしい人生となるようなお手伝いができれば嬉しく思います。
1945年 | 生誕! 小学生の頃から筆で自分の顔に眉を描くほど眉に興味があったんです。 (詳しくはブログにて) |
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1975年 | 眉に力を入れたメイクアップ教室をオープン。 メイクアップ等のレッスンを行なう。 |
1985年 | 眉毛デザインが今ほどは注目されていなかったこの当時から美容業界の中でも先駆者として眉デザインを行なう。 |
1988年 | 東京都内にメイクアップ教室を開業。 |
1989年 | このころから、生命保険会社の企業内定者、新入社員の研修(イメージアップするための眉の描き方、メイクアップの仕方、カラーコーディネート等について。)において講師を担当。 その他企業主催の各種イベントにて眉デザイン、カラーコーディネートを担当。 |
1995年 | 東京都内に眉&メイク教室JUNKOを開業。 眉デザイン、メガネコーディネート、カラーコーディネート等を行う。 |
2003年 | 今までの全ての経験、知識を活かし、プロフェッショナルが集結した北千住ビューティースクエアをオープン。メディア各界から注目され、多数の新聞、雑誌、TVからの取材に応じる。 サロンディレクターとして現在も多忙に活躍中。 |